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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(231)鬼業仏心の経営〈事例A〉
2019年2月4日
〈鬼業仏心の経営〉
そして「鬼業仏心」という経営スローガンを打ち出した。鬼の心と仏の心を持って、やり抜こうというわけである。
①鬼の心
・計画必達の鬼・コストダウンの鬼・生産性アップの鬼・新規開拓の鬼・事故絶滅の鬼
②仏の心
・信頼と満足を与える顧客づくり・働きがいのある意欲に満ちた職場づくり・知恵とアイデアを引き出す人材づくり・素直に話し合える人間関係づくり・日々新たに将来へ夢のある会社づくり
「鬼業仏心」の具体化として、それぞれ幹部が具体的行動目標を設定した。一例を挙げる。
・計画必達の鬼︱︱日々の売り上げチェックをして、実績と目標との差異の原因を分析し、すぐさま対策を取る・コストダウンの鬼︱︱経費予算を作成する。発注書の作成を行い、チェックし、1万円以上は社長決裁とする。
・生産性アップの鬼︱︱訪問荷主リストを作成する。荷主のニーズの把握に基づく物流提案能力の強化
・事故絶滅の鬼︱︱事故発生者の適性診断、事故多発者の下車勤務処分の実施
トップは具体的行動目標に基づいてアクションを起こした。気迫がみなぎる。トップの気迫によって、幹部のやる気に火がついた。︱︱必死の日々。鬼となって進む。仏心を温めていく。トップは幹部と腹を割って話し合った。「どうしたら、この苦境から脱出できるか。どんなことがあっても乗り越えてみせる。命を掛けてやり抜く。どうか、わが社に力を吹き込んでください」。決死のトップの思いで、幹部一人ひとりの目の色が変わってくる。まさに土壇場、首切りの刑場ともいうべき局面から底力を発揮してくる。
トップの気迫とは、言い換えれば、経営に対する情熱、熱意の発露である。情熱、熱意の根源は何か。それは使命感ではなかろうか。そのために尽すという使命感をバックとして発露するのではあるまいか。
A社のトップは妻の一声から、それに気付き、自己の経営姿勢を変革して〝ナニクソ〟精神で苦境に挑んでいった。わが身の栄達とか私欲ではなく、世のため人のため︱︱という使命感に揺さぶられ続けて、経営に対する真摯な熱意を発揮した。それは「鬼業仏心」の経営スローガンに、よく表現されている。A社の再建プロセスは、トップの気迫のすさまじさを教えてくれるものとなった。 以上
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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