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    第303回:退職者アンケート

    2015年7月17日

     
     
     

     ■企業の課題
     今、多くの業界が人材不足の状況に陥っています。有効求人倍率はたいてい1を超えており、なかなか思うように人が採れません。一方で、現在の会社を辞めても新たな職場は比較的容易に見つけられるという意識の人が多くなり、退職のハードルはかなり下がっています。
     そのような背景から、企業にとっては、採用力アップと同時に、定着率アップの方も重要課題になってきています。


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     ■アンケートの仕組み
     弊社会員企業のY運輸さんでは定着率アップのために、まずは自社の退職の原因をつかもうと、「退職者アンケート」を実施しています。トラックドライバーは腕一本で複数の会社を渡り歩きやすい、職人の世界です。よって、他の業界よりも比較的離職率は高くなります。そこで、人を入れる以上に辞めさせないことの方が重要だと考え、このような取り組みをされているのです。
     アンケートの実施時期は、退職日の1週間前です。なぜなら、アンケート結果から何か会社として確認しなければならないこと、退職予定者の協力を得て対処しなければならないことがあった場合、残りの日数が必要になるからです。退職予定者は、本アンケート用紙の項目に答え、「退職届」と一緒に提出する決まりになっています。
     会社側は、提出されたアンケート結果から読み取れる課題を(1)全社的に解決すべきもの(2)当該拠点にて解決すべきもの(3)当面、何もしないもの、の三つに分けて対処します。
     ■アンケートの内容
     アンケートの前文には以下のようなくだりがあり、本音を引き出せるようにしています。
     「今回のアンケートは今更ながら当社で足りなかった部分、貴殿の思いと違う部分など退職を決意させるに至る要素をお伺いできればと思いご協力をお願いするものです。うわべだけの円満退社ではなく真の理由を共有した上での円満退社を目的としており、貴殿にとって今後、決して不利益な状況にならないことをお約束いたします。むしろ、これから入社される新しい人材に貴殿と同じような思いをさせないよう、会社を挙げて向き合わなくてはいけないことと考えております。一見、会社批判とも受け止められる回答であっても、それが今の当社の実情であると真摯に受け止める覚悟でおります。どうかできるだけ貴殿の心情を素直にお答えいただければと思います」
     実際、施行前に思っていた以上に、辛辣な本音の内容を書いてくれる人が多いようです。その後、次のような項目のアンケートに答えてもらいます。
     (1)退職理由
     (2)社内の人間関係
     (3)復職の可能性
     ポイントは、(1)が選択制であることです。45もの項目から複数回答可で選んだ上で、特に大きな理由となったもの五つを挙げてもらうという方法です。そして、詳細を自由回答してもらいます。
     この方法によって、よりリアルな退職理由がわかり、今後の改善につながるのです。
    (船井総合研究所・橋本直行)
    ☆船井総研が運営する物流ビジネス情報サイト「http://www.ecologi.net
    ※記事は15年3月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

     
     
     
     

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    本コーナーでは、船井総研ロジ株式会社による リレー連載を掲載します。

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