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    経営再生物語(290)人材育成について(7)事例(3)

    2020年5月25日

     
     
     

     創業して20年、30年の中小企業に経営コンサルタントとしてお手伝いしていて、人材育成について、いろいろ考えさせられることがある。Aさん、Bさんの例も、その一つである。創業期の企業には人も金もなくスタートするのが通例である。辞めない人材を育成することが大切である。入っては辞め、ちょっとしたらすぐ辞めで、なかなか人が定着しない。20年、30年経っても、人員は100人、200人であれば一応中堅企業とはいえ、人の悩みはつきない。社長は悩む。うちには人材がいない、幹部がいない……。たしかに大企業タイプの人材はいないし、マネジメント能力たっぷりの幹部はいない。

     

     よく考えてみると、大企業に入れないから、中小企業に入っているのが普通で、組織も出来上がっていない。だから、人がいない、幹部がいないといっても、それは当たり前である。企業として維持し成長するには、Aさん、Bさんタイプもいないといけない。そのためには義理人情、ナニワ節の要素がいる。

     子供を大学に行かせたい社員がいる。子供は私立に入りたいという。その社員が会社に相談にいけるような中小企業でなくてはいけない。あるいは、サラ金に追われてニッチもサッチもいかない社員がいる。サラ金のため、家庭はバラバラ、夫婦仲も破滅寸前。この場合、親身に相談にのれる社風に、味がある。そうかといって、金を貸すばかりが能ではない。じっくりと問題の本質を話し合って、何らかの形で力になることだ。中小企業であれば、安易に金を貸すほどの余裕がない場合もあるからだ。したがって、義理人情、ナニワ節も捨てがたい。理屈だけでは、人は動かない。感情に訴え、感性をゆさぶり、その気にさせる。粘り強い働きかけである。

     人材育成は、人間通でないとうまくいかない。人間の心理に通じていないとダメである。人には人の持ち味がある。一口に花といっても、カーネーションもあれば、すみれ草ありで様々で、やはり、個性を伸ばしていくことが基本である。適材適所の大切なところである。そのためには、一人ひとりの特長を本人が自覚し、企業はその特長を伸ばしていけるように配慮する。馬を川のそばまでつれてきても、馬が水を飲む気がないと、それまでだ。

     企業における人材育成は、馬を川のそばまでつれてくる努力が求められる。くりかえし、くりかえし、川のそばまでつれてくる。馬の好きな、、ぴったりした川かどうかは、川のそばまでつれてこないとわからない。しかし、努力し続ける。馬が水を飲んでくれれば成功だ。適材適所によって、自ら伸びんとする力を引き出すことは、人材育成の基本である。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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