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    経営再生物語(322)人材育成について(18)A社の事例(2)

    2021年2月15日

     
     
     

     このケースを人の育成という観点からみると何を教訓として引き出せるか。第一は家庭環境である。家庭をしっかりするということは企業の中で仕事を遂行していく基本である。この経理課長は文字通りの独身で家族の為に頑張る必要がない。自分の為ではなく、家族の為とか世の役に立ちたいとかの心の働きが、人をして、意欲づけさせ活性化していく基となる。この基がない人は問題である。自己本位では人は成長しない。

     

     第二は管理体制である。この社長は経理課長を信頼しすぎてノーチェックであった。銀行印を預けっぱなしにしていた。これは本当の意味で信頼といえるか。放任である。放任で人が育つか。

     第三は将来の夢というか目標の大切さである。この経理課長は何を喜びとして働いていたのか。心の奥までは覗けないが、母親に死なれ、一人となった自己。しかも持病があった。てんかんである。てんかんとは発作的に痙攣、意識喪失などの症状をあらわす疾患。人事不省となり卒倒して手足をもがき口から泡を吹くが、しばらくして回復する。職場で年に何回か発作を起こしていたという。持病の為結婚もままにならない。暗い気持ちであろう。将来の夢もない。なるようにしかならないという諦めの日々であっただろう。今回の持ち逃げもてんかん発作みたいなものであろう。人を育成する基本の一つとして一人ひとりが将来の夢というか目標をしっかり持つよう指導していくということがある。

     第四は適材適所である。客観的に見てお金を扱う経理課長としては不適である。人を見抜く目が必要ということである。持病があって独身者を経理課長として全面的に任せっきりにするのはまずい。

     第五はローテーションの必要性である。一般的にいって中小企業ではローテーションはしにくい。経理部門となると、さらにこの傾向が強い。従ってローテーション出来るところはどんどんやって、経理部門のようにしにくいところは、任せっきりにするのではなく、チェック体制を確立していく。そして代行者を育成していく。

            (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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