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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(155)5S表彰制度〈事例A〉

    2017年6月1日

     
     
     

    〈トラブルは命取り〉


     A社は荷主から厳しい物流サービス向上の要請を突き付けられていた。

     ?運賃を現行より10%値引きする。

     ?これから誤着回数が1か月で1コースにつき3件発生するごとに、そのコースをほかの運送業者に変更する。
     ?乗務員の態度、言葉遣いが悪く、着荷主からクレームが発生した場合、始末書を提出する。クレーム件数が1か月に3回発生するごとに、ほかの運送業者に変更する。

     「厳しいなあ」—-。A社長は頭を抱える。A社は社員と契約社員の比率が半々である。契約社員は1日どのコースを走ればいくら、といった日給型の給与条件である。気質上、アルバイト感覚の者が多く、セールス・ドライバーとはほど遠い。平たくいえばフリーターである。物流品質を押し下げている集団である。

     それに比べると社員はまだましであるが、1時間当たりの人件費コストが契約社員と比べて高い。約2倍である。どうしても収益面からいって、社員をこれ以上増やすわけにはいかない。赤字必至となる。そのうえ10%の運賃値引き、誤着やクレーム回数が増えると、運送収入も他社に持って行かれる。

     「前門の狼、後門の虎」と、A社長は悩む。そのうえ配車担当者もハードな日々の連続で精いっぱい。時間の余裕がない。午前3、4時からスタートして、一応の区切りがつくのは夜の7、8時。こうしたハードな状態が続いている。「家に帰って最初に風呂に入ると、出たらそのままバタンキューと眠ってしまうので、まず食事から始めます」—-。体の続く限り働いている。

     「これ以上、どうしたらいいのか」。いわゆるフリーター感覚の契約社員ドライバーは、「金」のみが働く目的である。「事故を起こせば退職すればいい」といった感覚である。荷主はそうはいかない。いくら契約社員とはいっても、A社のドライバーには違いない。物流品質を落とせば、即A社の運送収入ダウンという形で響く。  (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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