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    経営再生物語(277)人材育成について(3)A社の事例(2)

    2020年2月3日

     
     
     

     派手さの一例としてパーティー好きがある。年に5、6回、いろいろと名目をつけて(新会社の設立パーティとか)一流ホテルをかりきって行う。「立派ですなあ」すごい人ですなあ」との賛辞に酔いしれて舞い上がっていた。

     

     見栄とは、倒産した6か月前、1992年の6月に全従業員に金一封を配っていることでもわかる。

     資金繰りは火の車でありながら、なぜ、金一封を出す必要があるのか。倒産する2週間前には創業35周年のパーティーを一流ホテルで行っている。

     私欲は、2代目は言葉はともかくとして、自分の好きなことのみに精出した。年に何回も海外旅行し、おみやげをどっさり買い込んで、建設業という本業とは無縁の道楽を続けた。極めつけは、倒産する2年前に自宅を新築して盛大なパーティーを開いたことだ。古参幹部のつぶやきが残っている。

     「家を建てるなら、先代に建ててほしかった。社屋より先に新築するなんて…」。

     2代目は、周りをイエスマンで固めて暴走し、ついに破滅させた。人間の業のようなものを感じる。業とはその人のもっている宿命とでもいおうか。この2代目の本質の姿勢は、他に期待して育成するというものは全くない。他は自己の欲の道具ではなかったのではあるまいか。

     立派な社訓や中期ビジョンは誰のものか。本来は働いている一人ひとりのものだが、現実はだましの道具と化していた。2代目のぜいたくぶりをくらます目くらましみたいなものだ。2代目のおかかえ運転手は、先代にもつかえた古参社員だ。彼のつぶやきはこうだ。

     「私より年の若いものにアゴでつかわれ、バカ呼ばわりされて悔しかったですよ。人を人とも思わない人でした。飲み屋の外で何時間も待たされて、運転させられる私の気持ちは、それは辛かったですよ」

     現場の古参社員は、「社長(2代目)は、ついに現場にヘルメットをかぶって一緒に汗を流そうとしてきてくれませんでした。たまにきても、大名行列で風のように来て去っていくだけでした。本当は建設業が嫌いだったのではないですか」

     一瞬にしてフトコロに入ったアブク銭に期待して、ついに一瞬にして崩壊した。本来願いをかけるべきでないものに、願いをかけた報いといえようか。

                  (つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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