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  • ブログ・小山 雅敬

    第107回:個人償却制の賃金体系をどう見直せばよいか?

    2017年6月12日

     
     
     

    【質問】当社では先代の頃から個人償却制の賃金体系を導入しています。数年前から売り上げ減少とコスト増加で給与が確保できないため、一定額まで給与の補填をしています。給与の補填が続き、今では累積して多額になっています。現体系を見直したいのですが、どう見直せばよいでしょうか?


     個人償却制は「持ち車制」や「車両リース制」とも言われ、運送業で以前からみられる賃金体系です。その計算方法は概ね、個人の月間売り上げから燃料費、高速料、修繕費など、1か月にかかる全コストを差し引き、さらに会社の管理費(売り上げの10~18%程度)を引いた残額を本人の給与として支払う方式です。計算上、減価償却費まで差し引くため、「個人償却制」と呼ばれています。昔は社会保険をつけない会社も時々見られ、多少グレーな形態もごく一部に見られました。
     しかし、最近では、通常通りに運行管理を行い、社会保険にも加入し、給与総額の計算だけ個人償却制の計算方式を採用する会社があります。個人償却制のメリットは、売り上げ増大へのインセンティブに加え、燃料費やタイヤ代など全てのコストに対する意識が高まるため、車両の粗利益が向上することです。
     一方、デメリットは、慎重に制度を構築しないと、名義貸しや残業代未払いなど、コンプライアンス上の問題が発生する可能性があることです。個人償却制は利益が低迷している会社の経営立て直しに飛躍的な効果をもたらすため、粗利益向上のために導入されることがあります。この制度は常時売り上げが上がっているときは効果を発揮するのですが、一旦売り上げが低下し、コストが上昇すると、手取り給与が激減することがあります。
     以前相談を受けたB社ではドライバーの計算上の給与が4万〜5万円に陥っていました。最低賃金を大きく割り込み、生活が出来ないので、B社は毎月20万円まで補填していました。毎月10万円以上の補填が続き、平均400万円程度の累積補填額になっていました。ドライバーは20万円あれば生活できるため、売り上げやコストには無関心になっていました。このような状況を打開するため、B社では賃金体系を見直し、最低賃金を上回る額の基本給と(売り上げー燃料費ー高速代)に一定割合を掛けた歩合給を導入することにし、残業代は法定通り計算して支給することにしました。
     新制度は本来の目的である粗利益向上への意識を重視し、燃費向上と高速代節約に絞って給与に反映することにしたものです。個人償却制度の見直しを検討する際は、コスト意識を継続できる体系を考えてはいかがでしょうか。
    (コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    小山 雅敬

    コヤマ経営
    昭和53年大阪大学経済学部卒業
    都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
    平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
    中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

     
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