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ブログ・小山 雅敬
第204回:運送会社のテレワーク
2021年3月30日
【質問】最近、コロナ感染防止対策でテレワークを導入する会社が増えているようですが、運送会社でテレワークを導入している事例や導入を検討する際の留意点があれば教えてください。
最近は、どの運送会社を訪問しても、マスク着用、入り口での消毒、検温の実施が当たり前で、応接や会議室でも参加者間のスペースを空けて打合せを行うなど、コロナ感染防止対策が定着してきた感があります。
ところが、他業種でよく見る「テレワーク」の導入が運送会社ではあまり見られません。テレワークは本来、時間と場所を有効に活用して効率的に仕事をする働き方の推進から始まりましたが、今はコロナ感染防止に向けた安全配慮義務の一環として導入する会社が増えています。運送会社で導入が進まない理由は、そもそもドライバーや庫内作業員などの仕事はテレワークに適さないこと、配車係や現場管理者の仕事は現場作業員の管理であり、テレワークに向かないことがあります。
現在、運送会社でテレワークを導入している部門は、主に上場又は中堅運送会社の本部スタッフが中心ですが、最近になり、中小運送会社でも本社スタッフ部門などに導入を検討する動きが出始めています。
一部の会社では、本社の社員に対して、本社に出勤しなくても自宅又は自宅に近い営業所などでの勤務を認めている会社もあります。今後、対面点呼などの規制が緩和されると、現場管理者にもフレキシブルな働き方の導入が進むかもしれません。
テレワークの導入を検討する際は、テレワークの定義や対象者、服務規律、労働時間や時間管理の方法、休憩、休日などの労働条件、および費用負担などについて、「テレワーク勤務規程」により、明確に取り決めておく必要があります。在宅勤務・勤務場所以外の施設での勤務形態、機密情報が漏洩しないよう勤務場所の環境条件や情報管理の方法などを定めておきます。労働時間や休憩、休日等は通常の勤務と同様に考えれば結構です。
ただし、労働時間の把握方法を決めておかねばなりません。仕事を開始する時と終了時に上司に報告するなどのルール作りが必要です。なお、みなし労働時間制が適用できる職務の場合は検討しても良いでしょう。
労働条件面では、通勤手当を出勤日のみの支給に変更するケースがありますが、この場合は不利益変更になることがありますので、社員の同意を得ておきます。
なお、テレワーク時も、通常と同様に労災の対象になりますので、注意が必要です。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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